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9月29日(水)zoomによるオンラインイベントを開催しました。 きのこ農家の安田悟氏をお迎えし、参加者のみなさまへ事前に送付した中国産と国産の乾燥キクラゲの食べ比べをしながら、新規就農を果たした経緯や、就農してみて感じたことなどについて、詳しくお話をお聞きしました。
【ゲスト略歴】安田 悟氏
「人生、常にチャレンジ」の想いから19年間勤めた製造業の会社を脱サラし、きのこ農家に転身。現在、就農2年目。国産品が少ない「キクラゲ」(6〜10月)と大型で肉厚な「しいたけ」(9〜3月)を栽培中。市場のニーズと合致する作物を積極的に生産し、一年を通して収穫物のある農家になるため、消費者や取引先とのコミュニケーションを密に取ることを大事にしている。ラジオやメディアにも多数出演。
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■国産と中国産のキクラゲを食べ比べながら


ー本日は、事前にお届けしたキクラゲを食べ比べながらお話ししていこうと思います。事務局では、アボカドとキクラゲのごま油和え、アクアパッツァ、ペペロンチーノをご用意しました。
安田さん:乾燥キクラゲを水で戻すとわかると思いますが、国産の方がとても大きいんです。食感も、国産の方がコリコリしていますね。
【視聴者】卵と炒めて食べました!
安田さん:中華料理は定番ですね!和食や、チーズとの相性が良いのでイタリアンにも使えます。キクラゲのぬか漬けなども作れます。(水で戻し、30秒ほど湯がいて一度熱を通し、糠に漬ける。)飲食店ではピザにして提供しているところもありますね。
ー今後、キクラゲを使ってやってみたい料理はありますか?
安田さん:チーズフォンデュをやってみたいですね。想像できないことをやることで料理の幅も広がります。
ーイチオシレシピを教えてください。
キクラゲをイカ素麺のように切って、大葉をかけてワサビ醤油でいただく 「キクラゲのお刺身」ですね。手軽にできますし、キクラゲの旨味を感じることもできます。
【視聴者】:乾燥キクラゲの戻し汁には出汁はでますか?しいたけみたいに戻し汁も使用できるのかなと思いました。
安田さん:乾燥キクラゲを水で戻した時の茶色い汁が出汁なのですが、味はあまりないと思います。トレハロースという成分が入っているため、化粧品に使われていることがありますね。
ーキクラゲのおすすめポイントは?
安田さん:
・食物繊維が豊富(ゴボウの3倍)。生キクラゲ5gを毎日食べると整腸作用により便秘予防に。
・ビタミンDを含み、骨粗しょう症予防に有効。カルシウムの吸収も助ける。
・低カロリーでお腹で膨れるのでダイエットにも良い。
・鉄分はレバーの3倍。
・カルシウムは牛乳の1.5倍。
女性に必要な栄養素がたくさん含まれています。天日干しをすると栄養が高まるので、乾燥キクラゲを家庭で追い天日干しするともっと栄養が高くなります。

■きのこ農家になるまでと、なってから。
ー就農した理由を教えてください。
安田さん:自動車メーカーのプラスチック部品を製造していました。19年間勤め、創業当時は社員数4名、月400〜500万売り上げでしたが、2019年には社員数25名、売り上げが月2400万まで会社が成長。その後、燃え尽き症候群のような状態になってしまい、常に挑戦したい、売り上げももっとあげたいという思いから、全く別の新しい分野にチャレンジしようと考えました。
ー農業の中でも、なぜキクラゲとしいたけを選んだのでしょうか?
安田さん:田村市は平らな土地が少なくて、広い土地が無く狭い土地がつながっています。トラクターで作物を作ると移動にも時間や燃料がかかりますが、きのこは狭い土地でも棚を使って栽培できるんです。収穫量が増えれば、収入も多くなります。その中でもキクラゲは98%が中国からの輸入キクラゲだったので、農薬の少ない国産のキクラゲを作りたいと思いました。
ーどうやってきのこ栽培を始めましたか?
安田さん:教えてくれる師匠をネットで探しました。福島県の西会津町にある東北でも有数の生産量を誇る、株式会社きのこ屋さんの三留社長という方にアポなしで会いにいき、「会社を辞めてきたので、弟子にしてください!」と伝えて弟子入りしました。(笑)
ー就農してよかったこと、苦労したことを教えてください。
安田さん:良いことは農業の友達が増えたことです。こういう話ができる方がいることですね。大変なのは休みがないことですね。キクラゲとしいたけの栽培の間は、菌床の処理などもあり、年間を通して休みがないんです。

ー今後の目標はありますか?
安田さん:移ヶ茸という屋号でやってるのですが、このブランドで色々なきのこを作りたいです。今はマッシュルームを作りたいと考えています。福島県では現在、マッシュルームを作っている人がいないので、田村市の新しい名産品にしたいと思っています。舞茸も作りたいですね。ネット販売もありますので確認ください。

ー初期投資額はいくらですか?
安田さん:ビニールハウス3棟で2800万、大きい冷蔵庫と乾燥機400万、残りは運転資金や消耗品費で、合計約4000万円です。田村市の補助金を利用したので全額負担ではありませんが。売り上げ金額はサラリーマン時代と比べると、手取り額は多いです。
【視聴者】年間生産量はどのくらいですか?
安田さん:生産量は生キクラゲ6t、しいたけ4tで年間合計10tです。
【視聴者】販路拡大のためにどのように営業されてますか?
安田さん:今は直売所がメインで12店舗、スーパーの地場野菜コーナー、いわき市や福島県北部など60店舗と取引をさせていただいています。目標は100店舗。従業員がいないので、自分で営業交渉をしていますね。
【視聴者】生のキクラゲと乾燥キクラゲ、料理での用途の違いはありますか?
安田さん:乾燥キクラゲは、90%水分を吸うのでお味噌汁などに直接入れるのがおすすめです。だし汁を吸ってキクラゲに味が染み込みます。
【視聴者】キクラゲのファン作りのためにどんなことをやっていこうと思っていますか?
安田さん:直売所などで店頭販売をしたり、直売所やスーパーに自分の写真付きのポップなどを掲載し、顔を覚えてもらってます。ローカル番組にも出演させていただいたり、生産者の人柄を知ってもらえるようにしてます。
【視聴者】あらかじめカットされている乾燥キクラゲは販売していますか?
安田さん:実は販売していたのですが、カットしていない大きなキクラゲの方が人気だったので廃盤となりました。(笑)
ー最後にひとことお願いいたします。
安田さん:キクラゲの成分や女性に必要な栄養素が豊富なことなど、お伝えできたかと思います。今後マッシュルームに挑戦したいことなどや、僕自身の人柄も知っていただけたので、とても満足しています。

今回のセミナーはオンラインで19名の方にご参加いただきました。安田さんのキクラゲ愛が溢れるトーク内容で、栄養素やおすすめの食べ方なども教えていただき、参加者の中には熱心にメモを取られる方もいらっしゃいました。とてもアットホームな雰囲気の中、田村市の魅力を発信することができたイベントとなり、キクラゲに対するイメージが変わったという嬉しいコメントもいただきました。ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。
【たむら農家にズームイン】では、今後も田村市で活躍する農家さんのお話が聞けるオンラインイベントを開催して参ります。
SNSでも情報を発信しておりますので、こちらよりご確認ください。
https://www.facebook.com/tamuragurashi
【主催】福島県田村市
本取組は「1次産業による持続的関係人口構築戦略※」の一環として実施しています。
※農林業を通じて地域活性化を図り、市外の方へ田村市の魅力を発信することで、移住・定住者を増やすための取り組み。
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