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2月10日(水)オンラインにて、「アグリ女子会」を開催しました。 ゲストとして株式会社GREEN for TABLEの過足幸恵氏、富塚あゆみ氏をお招きし、前職のOLから新規就農を果たしたお二人の経験を通して「女性でも続けられる農業」や「女性だからこそできる農業」についてお話しいただきました。
【ゲスト略歴】
株式会社GREEN for TABLE 過足(よぎあし)幸恵氏
前職は地元でOLとして働いていたが、実家が兼業農家であり父から農場視察に誘われたことがきっかけで姉妹揃っての就農を決意。現在は就農4年目となり、「女性でも続けられる農業、そして女性だからこそ出来る農業のカタチ」を目指し、市場での販売以外にも自社のハウスで直売も行っている。食卓に彩りある美味しいミニトマトを届けるため日々奮闘中。
現在36歳。既婚で1歳のお子様がいる。富塚氏の姉。
株式会社GREEN for TABLE 富塚あゆみ氏
前職では農業関係の保険業務に5年間勤務。既婚。過足氏の妹。
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■なぜ農家を始めたの?
− 株式会社GREEN for TABLEという名前にはどういう意味を込めましたか?
富塚さん:新鮮な野菜を、食卓やレストランなどのいろいろなテーブルにお届けしたいという意味を込めました。野菜を連想させるためにGREENという言葉を使いました。
過足さん:ロゴには生産しているミニトマトやフキノトウのイラストを入れ、丸い形でテーブルを表現しました。

−どうして農業を始めたのですか?
過足さん:父が兼業農家だったので農業は身近な存在でした。色々考えたときに、農業が楽しそうだなと思い就農しました。
−きっかけは何だったのでしょう?
過足さん:父がベビーリーフ農場に視察に行ったときに「一緒に行かないか」と言われて二人で同行したのがきっかけです。
富塚さん:3月に行って6月に農業をやろうと決めましたね。
過足さん:当時、事務職にやりがいを感じることができずにいたのですが、その視察に行って農業が面白そうだと思ったんです。その時は未婚で自分が今後結婚するかどうかもわからなかったので、やりたいことやろうと考えました。
富塚さん:私は小さい頃から農業が嫌いではありませんでした。震災があった際、福島が原発関係で風評被害を被ったのを見て「悔しい」と思ったんです。その時に自分に何かできないかと思い、就職をやめて農業をしようと考えました。それを母に伝えると「農業はいつでもできるから社会経験積んでからにしたら」と言われたので、その時は諦めて農業関係の仕事につきました。ベビーリーフの視察に行った時に昔からやりたかったこともあり、当時未婚で姉もいたので、「やるなら今だ!」と思いました。
過足さん:同じタイミングで農業に興味を持ち、一人より二人でスタートできたのも大きかったんだと思います。
■女性だから感じる農業の「楽しさ」と「大変さ」
−お二人のインスタグラムにハウスの写真がありますね。
https://www.instagram.com/greenfortable/
富塚さん:半年くらい土地を探して、そこに土を入れて。もともと田んぼだったので土も入れ替えました。
過足さん:土の入れ替えは道路工事をしている業者さんに頼みました。高所作業用の器具は知り合いに借りました。
−男性はいらっしゃったのでしょうか?
過足さん:父と手伝ってくれる方がいました。4人で作業していましたね。
−ハウスは何棟あり、完成するまでどのくらいの時間がかかりましたか?
過足さん:1年くらいかけて初年度には11棟建てました。2年目に1棟し、3年目には全部で15棟になりました。
富塚さん:コスト削減のために、20年くらい使ってたハウスを持ってきて、それを自分たちで直して作りました。
−トラクターに乗っている写真がありますが、免許は必要ですか?
富塚さん:畑を耕す分には免許は不要ですが、公道を走る場合は必要ですね。何回かハウス内で事故が起きてます。(笑)

−農業の魅力や楽しさはどんなところですか?
過足さん:子育てと同じで種からの成長を見れるところです。そして、自分の作った作物を食べて体感できるところですね。とくにミニトマトは生命力が強くて枯れてしまうかと思っても復活することがあるので、面白いし励まされます。
富塚さん:実がなった時が嬉しいですね。お客さんに売って完売した時や、「美味しかった」という感想をいただいた時も嬉しいです。
−フキノトウも作ってらっしゃいますが、こちらはどのように栽培をされるのでしょうか?
富塚さん:春先に畑に株を植えて12月に収穫します。
−フキノトウのおすすめの調理方法はありますか?
過足さん:メジャーなのは天ぷらですが、苦味が苦手な方は細かく刻んでエビなどと混ぜてかき揚げにしていただくといいですね。フキノトウ味噌とかもお酒好きな方におすすめです。

−男性にここは負けない!という部分と、逆に男性の力を借りたいところは?
富塚さん:農業はしゃがんで作業することが多いのですが、膝の強さは負けないと思います(笑)ただ、草刈りが大変です。土手とかは踏ん張らなきゃいけないくて危険なので、男性に任せたいなと思う時もあります(笑)
過足さん:肥料の袋が20kgくらいあるので、機械に入れるときに自分の腕が男性の腕になって欲しいなと思うことがあります。
【視聴者】農業をしていると自然豊かな土地でのびのびと子育てできるのではないかと思います。
−実際にお子さんを仕事場に連れて行ったことはありますか?
過足さん:連れて行ったことはあります。まだ小さいので、もっと歩けるようになったらハウスとかにも連れて行ってトマトを食べてもらったりしたいと思っています。
−ご主人は農業について理解をされていますか?
過足さん:結婚前に農業をやりたいと伝えてありました。夫は普通の会社員ですが、全面的に協力してもらってますね。
富塚さん:「結婚したら、私は農業をやるからね!」と事前に伝えていました。(笑)うちの夫も会社員です。
−お子さんの対応はご主人とどう役割分担してるのでしょうか?
過足さん:農業は忙しい時とそうでない時があるので、忙しい時は夫に協力してもらっていますね。子どもが熱を出した時も、自分が主体で仕事しているので融通が効きます。
富塚さん:私は今、妊娠中なのですが、そんなに悪阻がひどくなかったので作業はできました。
過足さん:一年の中で重いものを持つ時期は限られています。プチトマトなどは軽いので収穫などの軽作業はできますね。悪阻がひどい時は休んでもらいました。女性だからこそ分かるし、私も出産していたので状態については理解できました。

■「女性ならではの農業のカタチ」とは?
過足さん:1歳の子供がいるので、子育てと農業の両立を試行錯誤しながら行っています。明確にこうなりたいというものはありませんが、どういった形でやれば両立できるかを模索中です。
富塚さん:これから出産なのですが、姉が行っているから大丈夫だろうとは思ってます。どう無理なく持続して行っていけるか考えている最中です。
−ご両親が農業をされている姿を見て「自分たちはこうしていこう」という点はありますか?
富塚さん:まず父のやり方を真似するとこから始めたのですが、果たしてこれが効率の良いやり方なのかと考え始めました。きっともっといい方法があるはずだと試行錯誤しながら、今は親を越えられるように頑張っていきたいと思っています。
過足さん:失敗したときに父に責任転嫁しないように、自分たちが作物に責任を持って売れるように生産してます。
−これからの4年目を迎えるにあたって目標や頑張りたいことは?
過足さん:お子さんのいる家庭においしいトマトを届けて、野菜嫌いの子供たちに甘くて栄養の取れるトマトを届けたいと思います。野菜っておいしいんだなと思ってもらいたいですね。
富塚さん:どちらかというと沢山取れる作物を作ってきたのですが、もっと別のおいしい物も作りたいと思ってます。女性農業者も増えてきていますが、女性でも子育てしながら農業ができるということを見せていきたいですね。

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今回はオンラインから21名の方にご参加いただきました。
女性ならではの目線から子育てとの両立、長く持続していける農業のカタチとは何かなどをお話しいただき、お二人の志の高さに触れることができました。参加者の方からは、お二人が前職OLから未経験で就農されたというその行動力にパワーをもらったという方も多くいらっしゃいました。
ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。
テラス石森では、田村市内の農業の魅力を紹介する様々なトークイベントを開催しております。農業体験の受入を行っているベテラン農家さんの日常をお話する内容や、兼業農家としてカフェも経営されているご家族のお話などもお聞きいただけます。いずれも参加無料ですので、ご興味がございましたらぜひお気軽にご参加ください。
https://switch-terrace.com/archives/category/event
【主催】田村市
本取組は「1次産業による持続的関係人口構築戦略※」の一環として実施しています。
※農林業を通じて地域活性化を図り、市外の方へ田村市の魅力を発信することで、移住・定住者を増やすための取り組み。
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