【開催報告】オンライン林業イベント
2021/02/09
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2月5日(金)にZoomによるオンラインイベント「木こりという生き方。」を開催しました。 ゲストとして桑原 直人氏(フォレストクリエイト桑原 代表)、吉田 智喜氏(よしだ森林サービス 代表)をお招きし、長年「木こり」として活躍しているお二人の生き様を通じて、「林業」の魅力と可能性についてお話しいただきました。
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【ゲスト略歴】
・桑原直人氏(フォレストクリエイト桑原 代表)
林業の担い手育成を目的とした助成制度「緑の雇用」(※)を活用し、20歳から林業に従事し、今年で18年目に突入。2016年11月に独立し、現在は森林を所有する個人からの委託業務を中心に、調査業務から、伐木、搬出、丸太運材、特殊伐採も行っている。「とにかく林業が好き」という想いで、楽しみながら仕事に向き合い続けたことで、”木こり”が生活の一部となった。「林業を通して学んだことを関わった人達へアウトプットしていくこと」を人生のテーマとして掲げている。

・吉田智喜氏(よしだ森林サービス 代表)
2004年に大学を卒業後、「自然に関わる仕事がしたい」との想いから、桑原氏と同様「緑の雇用」を活用し、同年4月に福島県の田村森林組合に現場作業班員として入組。桑原氏とは、同期として互いに切磋琢磨し、森林整備関係の事務や、林業の公共事業の現場責任者も務め上げ、17年の勤務を経て独立を果たす。「森林と向き合う生き方」をモットーに、森林の伐採や整備作業、調査業務に従事している。

※緑の雇用制度とは?
https://www.ringyou.net/project/


■なぜ林業の仕事を選んだの?


桑原さん:もともと実家が電気工事屋でした。電気工事士の学校に行き、家の仕事を継ぐ段階で「本当に自分がやりたいことは何か」と改めて考えたときに、自然と向き合えて自由な林業に魅力を感じ、こちらの道に進みました。

吉田さん:大学で自然野生動物観察などの研究をしていました。自然の中でできる仕事がしたいと探していたところ、福島県の新聞に「緑の雇用制度」という記事を見つけ、そのまま森林組合に問い合わせました。
入ったばかりの時は地域の方と野良仕事をしたりしてたので、始めてから2~3年は林業やってるという実感がありませんでしたね。

■林業ってどんな仕事?魅力は?


桑原さん:楽しい仕事です。林業の魅力は大きく三つあります。
一つ目は「チャレンジしやすい」こと。産業の進化スピードが他の産業に比べてスローペースなので、何かにチャレンジしたときに、その技術や考え方が先進的なものになります。
二つ目は「括れない」こと。林業は時代とともに変化していくため柔軟性が高く、そこもチャレンジしやすいポイントです。
三つ目は……また後でお話します。
縛られないという意味では、組合にいた時よりも独立した今の方がいろいろチャレンジできてますね。

吉田さん:2004年くらいは杉の苗を植える業務をしていました。林業というと木を切るイメージでしたが、それだけでなく、山を作る仕事なのだとここ数年で気づきました。 
林業は時代とともに業務内容がどんどん変わっていきます。林業を通して山との付き合い方が変わっていくのが楽しいです。一生できる仕事だと思います。

【視聴者】:具体的にどのようなチャレンジを?

桑原さん:補助金に頼らない林業をしています。
最初の2年くらいは森林組合の下請けでしたが、それ以降は個人山林所有者さんの仕事を9割、1割は森林組合や民間企業の仕事をしています。これは業界の中ではかなりのチャレンジだと思います。

【視聴者】:いきなり本業じゃなくアルバイトからでも良い?

吉田さん:全然大丈夫です。チェーンソーや機械などを使うのは安全研修や技能講習をしなきゃいけませんが、他にも必要な仕事(事務的な仕事)はあります。機械が入れない場所の枝を人力で切ったりとか。

【視聴者】:間引いた木材をバイオマス発電で使うことが出来るようなエネルギーに関わる仕事ができないかと思っていますが、現場の方のご意見を伺いたいです。

桑原さん:できるのではないでしょうか?
吉田さん:切った木をより高く買ってくれるように交渉するのもチャレンジですね。

【視聴者】アルバイトなどは、どのようにツテを作ればいいですか?

桑原さん:森林組合より個人主さんの方は労力不足だと思うので、そちらがいいかもしれません。

実際のイベントの様子(写真右:ファシリテーター地域おこし協力隊 矢部氏)



■就林するには資格が必要なの?どうすれば木こりになれる?


桑原:「緑の雇用」制度でチェーンソーや草刈機、重機など最低限必要な資格が取れます。働きながら資格も取って、木こりになりました。

吉田さん:「緑の雇用」制度で特別講習を経て資格を取りました。森林組合などに入った場合、多くが「緑の雇用」を利用して資格を取るので、3年ほどかけて大体のベースが整います。

桑原さん:僕が利用したのは(緑の雇用制度ができて)初期だったのでチェーンソーや草刈機の資格しかありませんでしたが、今は色々な資格が取れますね。

吉田さん:資格は2〜3日ほどで取れますが身につけるまでが長いですね。資格を取ること自体は難しくありません。

桑原さん:どうやって木こりになるかという質問ですが、自然と向き合っている時点で皆さん木こりです!(笑)



現役として働く女性林業従事者のお話し


女性林業従事者と一緒に働いていますか?その方の経緯は?

桑原さん:働いています。その方は広告会社のデザイナーでした。前の会社からの知り合いで会うたびに林業の魅力を語っていたら、林業に興味を持ってくれました。女性がいるとチーム内の雰囲気を柔らかく楽しくしてくれます。お客さんに対しても印象が良く、場を和ませてくれていますし、メンタルの部分で支えになってくれます。

吉田さん:私は去年まで林業組合に勤めていましたが、女性もいました。昔の話ですが、男性に混じって一緒にチェーンソーを使って仕事をしている方もいましたが、体力面や現場でのトイレの問題もあり難しいのかと思っていました。しかし最近は、女性のほうが現場でできることもあるのではないかと感じています。


【質疑応答】
・機械は沢山持っていますか?

桑原さん:全てリースです。うちは人力でできる仕事が多いので。価値のあるものを価値がつくように売りますが、そのときに重機を使います。

・どのようなビジョンを持って伐採してますか?伐採する木の使い道は決まっているのでしょうか?

吉田さん:森づくりとして45年サイクルを考えています。切る前に木の様子がわかるので用途などを考えてから切ってます。 

・日本の森林の現状や、林業従事者の現状は?

吉田さん:日本は常に伐採を続けていた歴史がありますが最近は日本の自給率が少なく、木が大きくなりすぎている時代に直面しています。これをどう活用できるかを考えいます。

−従業者はどうでしょうか?

吉田さん:減っていますね。全国3~4万人ほどですかね。

・間伐材を「炭」にして販売されたりは、していますか?

桑原さん:してません。周りで竹を炭にして売ってる人はいます。

・雪が降る冬は他の仕事をしているのでしょうか?

吉田さん:田村市は最近はあまり雪が降らないので通常通り林業してます。

・地域の森林組合が解散してしまい他の人に頼めない場合、山を維持するためにどのようなことをすれば良いでしょうか?

吉田さん:難しい質問ですね。
桑原さん:私に頼んでください(笑)

−最後にひとことお願いいたします。

桑原さん:今回移住というテーマで聞いてくれたと思いますが、田村市はかなり移住に力を入れています。いろいろなサポートをしてくれる人も多いので候補地にぜひ田村市をお願いします!

吉田さん:もっと皆さんに林業をやってほしいと思います。山とどのように付き合えばいいかわからないという人も多いので、これを機にぜひ考えてほしいと思います。田村市はいろいろな形の林業があるので、その中から選べます。ぜひ田村市で一緒に林業しましょう!


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今回はオンラインから56名という多くの方にご参加いただきました。
すでに林業を行っている方やこれから行いたいと考えている方だけでなく、子どもへの環境教育を目的とされている方、材木店に勤務されている方なども情報共有のためにご参加くださいました。
多方面から本当にたくさんのご質問をいただき、それに対して参加者同士で意見を出し合って頂いたりと、とても活発な交流の場となりました。
ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。


第2回目は2月17日(水)に開催されます。
トーク内容もさらにアップデートし、さらなる林業の魅力をお伝えしてまいりますので、ぜひ皆さまご参加ください。
お申し込みはこちらから↓
https://forms.gle/3L9jX6dJGaTgWWAR7


【主催】田村市
本取組は「1次産業による持続的関係人口構築戦略※」の一環として実施しています。
※農林業を通じて地域活性化を図り、市外の方へ田村市の魅力を発信することで、移住・定住者を増やすための取り組み。

Posted date - 2021/02/09
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