【開催報告】スマート農業入門講座
2021/02/03
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1月22日(金)テラス石森およびオンラインにて、「スマート農業入門講座」を開催しました。 講師である一般社団法人日本農業情報システム協会代表理事の渡邊智之氏より、スマート農業とは何か、導入することでどのようなメリットを得られるかなどについて先進事例を交えながらご説明いただきました。

スマート農業とは?

 皆さまは、スマート農業にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
 「情報技術をフル活用して効率化すること」と思われている方が多いと思いますが、スマート農業の目的はそれだけではありません。
 
・営農のリスクを最低限にし、最大限の収入を得ること
 ・自社ならではのノウハウを確立し、ブランド化や事業承継に役立てること
 
これらはスマート農業を行う上で、重要なポイントとなります。
 上記の目標を達成するためには、5年後10年後の自分の農業像や事業承継イメージがあることが大切だと渡邊氏は提唱しています。
 

スマート農業の現在位置と利活用状況について

 IT機器等を経営に利用しようと思わない理由についてアンケートを取ったところ「ITに関する知識が少ないため」、「経営規模が小さく必要性を感じないため」という回答が約8割でした。しかし今後さらなる大規模化の進展に伴い、経験と勘による農業が困難になることが予想されます。その際に生産者のサポートとして活用できるのがITです。

費用対効果などについて課題のあるスマート農業ですが、作業の効率化や品質向上、情報の共有など、農業を発展させる上で様々なメリットがあります。

・センサーによる遠隔監視や自動制御
 ・GPSによる農機の自動制御
 ・スマホやタブレットによる作業管理
 ・POSシステムによる販売管理
 
これらは実際に既に導入されており、様々な場面で生産者をサポートしています。


スマート農業のこれから

スマート農業を導入することによって蓄積したデータを活用し、情報による武装をすることでリスクから身を守ることができます。期待できる主なメリットは下記の4つです。
 
【シェアリング・マッチング】

  情報をみんなで共有したり、人と人とを情報でつなげることでメリットが生み出せる。
 
【シュミレーション】
  今後どのようなことが起こるかを予想して対応することができる。
 
【ナレッジ・ノウハウの知財化】
  生産者の知恵やノウハウ自体がお金になる。
 
【クオリティコントロール】
 生産方法や環境が見えてくることによって、品質のコントロールができる。

具体例としては、農機のシェアリングや作付けのシュミレーション、コストの分析などが挙げられます。いずれも効率化や安定供給を促し、ビジネスチャンスにつなげていけるのではないかと予想されます。

匠の知識の形式知化に向けた動き

長年農業に携わっている方は、沢山の経験と知識をもとに頭の中で様々な計算をしながら農業を行っています。しかし、もしその方が突然倒れてしまった場合、後継者の方にそのノウハウをすぐに共有することは容易ではありません。 そこであらかじめノウハウをデータ化し、後継者の方がその知識をもとに農業を行うことが重要となります。
 その他にも、培った農業技術をデータ化することで誰かにそのノウハウを販売し、農作物以外の収入源とすることも目指していきたいと渡邊氏は考えているそうです。

また、生産者のこだわりを明文化していくためにも従業員の方や経営者の方の考え方を一つにし、同じ方向を向いてブランド化していくことも重要となるとのことでした。
 

今回のセミナーはZoomでの受講が24名、Facebook配信での受講が19名、来場での受講が8名と、たくさんの方にご参加いただきました。ご参加いただきました多くの方から「わかりやすかった」とのお声をいただき、スタッフ一同、大変うれしく思います。これを機に、スマート農業の導入をご検討いただき、更に田村市の農業を一緒に盛り上げていければと考えております。ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。
 

テラス石森では、2月16日(火)に「みどりクラウド導入講座」を開催いたします。農作業や生育・収穫の記録をデータで管理するためのサービスを提供している「みどりクラウド」について、導入するメリットや費用、具体的な活用方法などを学べます。参加費は無料、オンラインでの受講も可能ですのでお気軽にご参加ください。

「みどりクラウド導入講座」については下記イベント情報をご覧ください。
 https://switch-terrace.com/archives/6493

【講師略歴】
 ■講師:一般社団法人日本農業情報システム協会代表理事 渡邊智之氏 
 https://jaisa.org/
 https://agri.mynavi.jp/2018_11_05_46497/
 
農林水産省で「スマート農業」推進担当として政府の「スマート農業」関連戦略策定や現場の普及促進に努めた後、2014年にICTやIoT、AIなど「スマート農業」の利活用促進、次世代農業人材の育成を目的とした業界団体、日本農業情報システム協会(略称JAISA)を設立し、代表理事に就任。(2019年一般社団法人化)また、2018年にはスマートアグリコンサルタンツ合同会社設立、代表/CEOに就任。著書に「スマート農業のすすめ~次世代農業人(スマートファーマー)の心得」(単著, 産業開発機構 2018年5月)がある。「農業を情報技術でかっこよく稼げて感動あるものに!」をビジョンとして活動している。

【主催】田村市

本取組は「1次産業による持続的関係人口構築戦略」の一環として実施しています。

※農林業を通じて地域活性化を図り、市外の方へ田村市の魅力を発信することで、移住・定住者を増やすための取り組み。

Posted date - 2021/02/03
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